研究組織・メンバー

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A01:学習に伴う視覚情報処理システム動態の解明

研究代表者
木村 梨絵
東京大学・大学院医学系研究科統合生理学分野・特任助教
WEBhttp://physiol1.m.u-tokyo.ac.jp/ern24596/

紹介文本文

脳は、新たな記憶・学習によって、神経回路を柔軟に再編し、知覚・行動を変容させることができる。しかしながら、学習に伴って、どのように単一細胞、単一脳領野内の多細胞間、そして、多脳領野間の多次元にわたる神経回路が変化して新たな機能を獲得するかについての全体像は解明されていない。そこで、本研究では、前期の公募研究に引き続き、ラットが視覚刺激を弁別して特定の運動を出力する課題を学習した後に、視覚と運動の関係を連続的に徐々に転換させる。このとき、どのように多次元にわたる視覚情報処理システムは変化するのかについて、そのシステム動態の全体像を明らかにすることを目的にする。新たに再学習された視覚と運動の関係を実現するために、あらかじめ構築されていた機能的神経回路のうち、どの回路を保存して、どの回路を再編するのかを明らかにしたいと考えている。また、保存回路と再編回路の特徴や、それら回路の相互作用を捉える。頑強性と柔軟性の相反する視点から脳情報動態の実体を解き明かすことを目指す。
頭部を固定したラットに、縦縞が提示された時にレバーを押し、横縞でレバーを引くという視覚弁別誘発性の運動課題をあらかじめ学習させる。その後、二つの縞の傾きの差分を保った状態のまま、連続的に徐々に変化させて、視覚と運動の関係を再学習させる。このとき、一次視覚野やトップダウン入力を与えるような高次領野を含む多脳領野における多細胞の神経活動をマルチユニット記録する。また、光活性化タンパク質を特定の細胞群に発現させて神経活動を操作することで、光遺伝学による因果性の解析も行い、学習に伴う視覚情報処理システム動態の理解を深める。

文献

  1. Kimura R, Saiki A, Fujiwara-Tsukamoto Y, Sakai Y, Isomura Y (2017)
    Large-scale analysis reveals populational contributions of cortical spike rate and synchrony to behavioural functions.
    J Physiol 595(1): 385-413.
  2. Kimura R, Saiki A, Fujiwara-Tsukamoto Y, Ohkubo F, Kitamura K, Matsuzaki M, Sakai Y, Isomura Y (2012)
    Reinforcing operandum: rapid and reliable learning of skilled forelimb movements by head-fixed rodents.
    J Neurophysiol 108(6): 1781-1792.
  3. Kimura R, Kang S, Takahashi N, Usami A, Matsuki N, Fukai T, Ikegaya Y (2011)
    Hippocampal polysynaptic computation.
    J Neurosci 31(37): 13168-13179.

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