生命科学連携推進協議会 研究支援代表者 武川 睦寛 |
近年、生命科学研究の分野においては、マルチオミクス解析、分子・生体イメージング、ゲノム編集技術、モデル動物作成、生体試料バンク、データ・情報科学の導入などに代表される、新たな解析手法・技術が急速に発展するとともに、研究に必要な解析機器も高度化・大型化しており、研究者が個々人で、これらに対応することが困難な状況が生まれています。この様な状況を打開し、我が国における生命科学研究を強力に推進するため、令和4年度から新たに学術変革領域研究の枠組みで『学術研究支援基盤形成』が創設されました。これは、文部科学省/日本学術振興会の科研費で実施されている研究課題に対し、先進的な技術支援やリソース支援等を行って、個々の研究を強力にサポートするとともに、研究者間の連携を図り、異分野融合や人材育成を一体的に推進して、我が国の学術研究のさらなる発展に資することを目的とした制度です。
上記目標を実現し、個々の研究者の多様なニーズに効果的に対応するため、全国の大学共同利用機関、共同利用・共同研究拠点を中核とする関係機関が緊密に連携して「学術研究支援基盤」を形成しています。 その前身は、平成22年に始まった文科省科研費新学術領域研究『生命科学系3分野(がん、ゲノム、脳)支援活動(平成22〜27年度)』、および新学術領域研究『学術研究支援基盤形成(平成28〜令和3年度)』であり、これらをさらに発展・強化する形で全国規模の支援グループが組織され、一体となって本事業に取り組んでいます。
生命科学連携推進協議会では、本事業の中核である4つのプラットフォーム(PAGS、ABiS、AdAMS、CoBIA)で展開される81の支援機能を有する全国の54大学・23研究機関が、密に連携できるように「総括班」を構成しています。事務局機能を東京大学医科学研究所が担い、組織の機動性を確保するとともに、各プラットフォームの代表4 名が、研究支援分担者11 名、研究支援協力者6 名とともに総括班を構成(計21 名)することで、各支援機能の緊密な連携と効率化を図り、全国の研究者に技術支援等を提供する体制を構築します。
加えて、総括班とは別に「社会との接点活動班」を設け、先端的研究を推進する上で必要な倫理面への配慮等を含むELSI(倫理的・法的・社会的課題)に関する相談、講習や、国民への情報発信・アウトリーチを主とした活動を、プラットフォーム横断的に実施します。
生命科学に携わる研究者の皆様には、是非、本支援事業を積極的にご活用頂き、ご自身の研究の発展に役立てるとともに、その成果を世界に向けて発信していただくようお願い致します。さらに、一般社会に対しても研究の成果や内容を発信し、啓発活動を行うことで、国民の皆様との科学・技術に関する対話を推進して頂くようお願い致します。
また、本ホームページにアクセスされる一般の皆様には、研究紹介等を通じてわが国における生命科学研究の現状・成果について理解を深めて頂き、研究および研究者に対してさらなるご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。